近年、「マルチハビテーション(多拠点生活)」というワードがトレンドとして浮上しています。暮らしをより豊かにする手段のひとつとして注目度が高まっていますが、中にはまだよく知らない人や、興味はあるものの身近な話ではないと感じている人もいるのではないでしょうか。今回はそんなマルチハビテーションについて、概要やメリット・デメリットを解説し、賢くお得にスタートしたい人におすすめの方法をご紹介します。
マルチハビテーションとは? 概要とメリット・デメリット
マルチハビテーションとは
マルチハビテーションとは、マルチ=「複数の」、ハビテーション=「居住地」を合わせた造語で、複数の住まいを行き来するライフスタイル(多拠点生活)を意味します。とくに、都市部などにメインの生活拠点をもって暮らし、休日だけ自然豊かな地方の拠点でリフレッシュして過ごすスタイルなどが主流です。また、普段とは異なる拠点で休暇を楽しみつつ働くワーケーションも、マルチハビテーションのひとつのスタイルといえます。
日経クロストレンド「消費トレンド総覧2030」(D4DR著)によると、マルチハビテーションは2030年には市場規模が約37.5兆円にものぼると予測されています。さらにコロナ禍を経て場所を選ばない働き方が普及したことや、暮らしの価値観が変化し地方移住への関心が高まったことで一層注目度が上がっているのです。
マルチハビテーションのメリット
・「都会の利便性」「田舎の自然環境」など、それぞれのエリアの利点を享受できます。
・オンとオフの境界線が明確になり、ストレスの軽減や双方の充実度アップが期待できます。
・一気に住み替えるのではなく部分的に移住体験ができ、将来的な定住の足がかりになります。
・複数の拠点をベースにできるため、行動範囲や出会いの可能性が広がるきっかけになります。
・自然災害などが起きた場合には避難先としても活用できます。
・過疎地域の活性化や空き家問題解消など、受け入れ側へのよい効果も期待されています。
マルチハビテーションのデメリット
・家賃や光熱費といった生活費や移動の費用など、コスト面の負担が大きくなります。
・移動に時間や労力がかかり、疲れやストレスの原因となる恐れがあります。
・会社の行事や子どもの習い事などとの両立、スケジュール管理が難しいケースもあります。

知らなきゃ損! マルチハビテーションを賢くスタートする方法
・補助金や支援制度を活用する
マルチハビテーションをスタートする際には、自治体による各種支援制度を活用するのがおすすめです。近年では、二地域居住などの希望者を対象とした補助金・支援制度や、移住体験の取り組みなどがさまざまな地域で広がっています。興味がある地域や住んでみたい地域がある場合は、家探しを始める前にまず自治体のWEBサイトをチェックしましょう。
・空き家バンクで物件をチェックする
家探しを始めるときは、一般的な不動産情報だけでなく「空き家バンク」も要チェックです。空き家バンクは自治体が地域の空き家情報を提供するサービスで、基本的に無料で利用でき、インターネット上で気軽に物件を探せます。比較的安価な物件を見つけやすいという特徴があることに加え、地域によっては空き家バンクの物件を対象とした補助金制度なども用意されているため必見です。
・サブスクリプションサービスを利用する
全国に用意された住宅や宿泊施設などの拠点が、定額で利用し放題となるサブスク型のサービスもここ数年で増加しています。決まった場所に拠点を設けて自ら維持費を払い続けるより、定額制でさまざまな地域や施設に行ってみたい人や、ワーケーションなどに活用したい人にはとくにおすすめのサービスといえるでしょう。

今回は、今大注目のマルチハビテーションについて解説しました。希望者向けの支援制度やサービスはここ数年で増加傾向にあり、この先ますます広がっていくことが予想されます。「地方移住に興味はあるけど、いきなり住み替えるのはハードルが高い…」などと感じている人にはとくに耳寄りな情報もあるかもしれないので、ぜひ注目してみてください。